【キャラの詳細設定(ネタバレ用)】

アルーグ・ベルガモット(傭兵騎士)

男。23歳/俺、アンタ、お前
(由来:アールグレイ、比較的渋みの少ないブレンドした茶葉にベルガモットで香りを付けた着香茶のこと)

何でも屋の数少ない所員の一人。それなりに冷静な性格。
決して人が良いわけではないのだが、困った人は結局放っておけないお人好し。
周囲が破天荒な性格ばかりで常に振り回されている苦労人。口が悪い。
剣は一流、それ以外の武器もお手の物だが、呪(しゅ)はからきし。

レディの魔法によって体が不死となった。
肉体的損傷に関しては、自動治癒によってすぐに回復する。それでも痛みはあるらしい。

自分の不死能力をなくし、再び死ぬためには、レディを殺さなくてはいけないので、それを目的に彼女の護衛を引き続き受けている。

(過去)
病気の妹に与える薬のため、戦争時代はフリー傭兵をやっていた。
顔の分からない黒い鎧をまとい、依頼側に絶対的な勝利を約束する。
その異常なまでの強さと、戦場で彼をみた者は死に絶えるということから「死神騎士」の異名を持っていた。
戦争が終結し、傭兵家業に困っていたところで、リゼルティア国王からの依頼で、レディの護衛につくことに。
最初は、全く喋らない彼女とは不干渉を貫くつもりだったのだが、そのことを妹に話したところ、
「きっかけを作るべき!」と言われ、花を持って行って、話す機会を得る。その後は、少しずつ話す回数を増やす。
その後、妹が死んだことで、自棄を起こしたアルーグは「奇跡を引き起こせる」と言ったレディに「俺を殺す奇跡を起こしてくれ」と頼む。
その願いに呼応したレディは、自らの意志とは無関係に化け物寸前の体となってしまう。
一度願った願いは消化されなくてはいけない、ということから、アルーグは自分の死ぬ意味として、「レディを助けるため」と思うことにする。
しかし、一度死んだはずが、すぐにレディによって生き返らされてしまう。
何故、生き返らせたのかと怒鳴るアルーグに対して、記憶を失う直前のレディは、「魔法を探し、それで自分を殺せば、今度こそ死ねる」と伝える。

その後、魔法という存在を城内でかくまいきれないと判断したリゼルティア国王は、アルーグの提案もあり、二人を「何でも屋」として城下町に住まわせる。
困ってる人を助けるという目的に張り切るレディの一方で、
記憶をなくす前の彼女が言った「魔法を探す」ことを目的に、アルーグは何でも屋としての仕事をし始める。

レディ・ヴィ・チャイダンルック(魔法)

女。18歳/私、貴方
(由来:レディグレイ、アールグレイをベースに、柑橘類の果皮と矢車菊の花を加えたトワイニング社のブレンドティ)

常ににこにこと微笑んでいる、ふわふわした感じの少女。
おっとりとした性格でマイペース。たまに突拍子もない言動をする。
戦いも呪(しゅ)も不得手だが、相手の心は何となく分かる。
また、運命を感じる人が(魔法が本当に必要となる人、これはある種本能的に)分かるらしく、
その為、やっかいごとにもよく首を突っ込む。

その正体は魔法そのもの。召喚された魔法が、人の体に収まっている。
その体は人間の王族として生まれた少女であり、その血には、精霊と天魔の血が無理矢理混ざっており、
前天魔王と前精霊王と契約を交わしてあることで、現在の形を保っている。
(一応王族ではあるが、系譜表などにはその名前は存在しないものとなっている)
なお、生まれたばかりの幼子の中に魔法を召喚したため、元あった精神はすでに消滅している。
人間的な感情表現をしているのように見えるのは、他人の感情表現で学習し、真似ているにすぎない。
本心?からの時は、やや冷淡で落ち着いている。
魔法であるが故に、真なる願いを持つ存在を関知し、惹かれる部分がある。

アルーグと出会うまでは、ただそこにいる、だけだったのだが、彼に話しかけられ、
話すようになってから、少しずつ「感情表現の本当の意味」を覚える。
その後、アルーグの「殺される願い」を受け、体の一部が化け物のようになる。
彼がその場で死んだ瞬間、ほとんど無意識に魔法を使い、彼を蘇らせ、不死身とさせる。
(実際、この不死化に関しては、当時、魔法を狙っていたジリンの呪(しゅ)による暗示で、
死んだら生き返らせる魔法を使うように命令されていたために発動したに過ぎない)

(過去)
前国王(リゼの父親)が、暗殺で死んでしまった妃を生き返らせるため、
生まれてから半年ぐらいの自らの娘である赤子の中に召喚された魔法そのもの。
魔法の擬人化といっても差し支えはない。生まれてからの調整により、天魔と精霊の血も混じっている。
実際、ここらへんの下準備などはジリンによって行われていた(ジリン自身、あわよくばそのまま自分の物にしようと思っていた)

しかし、いざ願いを頼んだ前国王だったが、その場で体組織の一部が変質した魔法によってたたき殺される。
(原因は、前国王の本心の願いが「亡くなった妃の元へ行きたい」であったため)

そして、制御のされていない魔法の暴走に気がついた前精霊王・前天魔王により、
前国王の「名前」を借りたジリンの手によって、
「魔法召喚で失われたマナの分、精霊や天魔が普通に生活できるような環境の結界を張ること」
「魔法がむやみやたらにマナを吸い取らないように城一帯に抑制の陣を引く」契約書が結ばれる。
その際、代償として前精霊王・前天魔王の命が支払われ、
さらにジリンの記憶の一部(自身が魔法を召喚した目的など)も食いつぶすこととなる。

その後、魔法を殺す方法も封印するすべも分からない、ということで、
レディの存在は城内でも高位の物たちの間だけの秘密として幽閉されることに。
外部との接触もなく、無為な日々を送ることとなる。
また、育てられる間、亡くした記憶を取り戻したジリンにより、
「自らの護衛にふさわしいと判断に値する人間が死したとき、自動的に不死の魔法を発動する」
という呪(しゅ)を年月を掛けてかけられる。
このころ、ジリンからは「君は世界を救う力がある。いつの日か、君は世界を救う礎となるんだ」と何度も聞かされている。

その後、リゼの命令でやってきたアルーグと交流するうちに、ほとんど偶然のようなもので彼に対して「好意」が芽生え、
それによって、魔法という道具ではなく、人という存在として様々なことを学ぶ努力を始める。
彼の願いによって自分の手で殺し、そして蘇らせた際は、彼の「死にたい」という願いを「個人的に」叶えたいという思いから、
自分が魔法であり、自分と同じ力であれば自分を殺せることをほのめかす。

基本的に魔法を使う場合、自分の記憶の他に、魔法を使う相手への代償も存在する。
アルーグの場合は、不死化にあたって魔法自身の蓄えるマナを与えるという代償を、
第一話で精神を再構築した際には、記憶の他にレディのそれまで蓄えていた恋心みたいなものを代償としていた。
しかし、レディ自身(これこそ奇跡的とも言うべきか)魔法を使って気絶から目が覚めるまでの間に、アルーグと共に城で過ごした日々を夢で見る。
そのため、自分が殺し、助けたところまでを通して、夢の中で恋をして、目が覚める度に、目の前にいる騎士に何度も恋をしている。

一番最初の国王の願いにより、その代償として肉親を「認識」できないでいる。
そのため、自分に肉親がいるということは何度言われても分からず、また、リゼルティア国王に対しては、
顔をみても覚えることも認識することもできない。
が、肉親という「立場」でなければ認識できるようで、女装している「リゼ」のことは「アルーグのお知り合いのオカマさん」ということで認識できている。

リゼルティア・ヴィ・チャイダンルック/リゼ(人間国の王)

男、28歳/私、お前、貴殿/アタシ、アンタ、アナタ
(由来:リゼ (Rize)、チャイダンルックと呼ばれる二段式のヤカンを用いる)

ハイルベーテン国の王。精霊王や天魔王からは人間の王、ということで認識されている。
普段は非常に冷静沈着で、厳格な男性。しかし街に出ているときは女装の変装をしてオカマ言葉を使う変人。
なお、女装癖については町の人間のほぼ全員が知らない事実である。

レディの兄だが、腹違い。最後の肉親である妹を非常に溺愛している。
(レディの容姿に共通点がないのは、天魔や精霊の血が混じって、元の人としての正しい容姿にならないため)

精霊王や天魔王に対しても、人間として面と立ち向かう度胸のある。
妹のことがなければ冷静な判断で人を手玉に取るような切れ者。
戦うことに関してはそれなり。何かの精霊と契約を結んでいるのか、実は呪(しゅ)が扱える。

(過去)
10歳の頃に、暗殺騒ぎで母親を亡くす。父親はすでに母が亡くなることをしっていたかのように、
ジリンと共に、生まれたばかりの娘の中に魔法を召喚。
しかし、父は魔法によって殺され、残った魔法からは大小によって兄として認識されず、
さらには戦争の最中であったためか、早くから国王としての立ち振る舞いを求められるなど、
さんざんであったために、最初の頃はレディのことが非常に嫌っていた。

しかし、全く感情もなく、幽閉されている彼女をみているうちに、父親に利用される形で残された妹が非常に哀れであり、
また、自分でしか肉親を守れないと思うようになり、いつの間にか彼女を大切にしようと思うことに。
自らの手腕と精霊王との契約により、各国間における戦争を何とか停戦まで持って行く。
しかし一方で、城内の不穏な動きから、レディを誘拐する者達が現れ始め、
それに対抗するため「死神騎士」アルーグを見つけだし、レディの護衛を依頼。

アルーグとの出会いで少しずつ感情表現を見せていくレディに、いつからか、自分も接したいという思いがわき上がる。
その中でついぞ「肉親と認識されなければ、こちらが分かるのではないか」などと突拍子もないことを考え、
女装をした姿で出会ってみたところ、見事に認識。
以降、回を重ねていくごとに女装力をあげ、ついには町の見回りに女装をしても全くばれないレベルまで腕を上げた。
なお、一連の課程を眺めているアルーグ曰く「基本的に頭いいが、レディのことにだけは馬鹿になるカマ王」という認識らしい。

アルーグが不死化した事件以降、貴族内にもレディの存在が漏れ始め、
城内での混乱を避ける目的で、二人を何でも屋として下町に避難させる。
護衛であるアルーグの目的(レディを殺したいというもの)は薄々感じつつも、
彼の根っこの部分でお人好しであるところを信じていたこともあり、二人だけの何でも屋にしていたとか。

ラプサン・スーチョン(天魔王)

男、見た目は15〜16歳、実年齢は300歳以上/俺、貴様
(由来:正山小種。茶葉を松葉で燻して着香した着香茶)

天魔達を統括する天魔の王。
王という立場を継いでから18年ほどだが、齢は相当な年。ただし見た目は好んで子供っぽい姿。
全くの気分屋でありながら、時々、気性の荒い性格。ライオンのようなイメージ。
呪い師としては精霊王と並び立つが、基本的に攻撃いっぺん通り。

楽しければ何でもいいという精神で、やっかいごとにも首を突っ込む。
前の天魔王とは旧知だったらしい。
一話の事件でアルーグ達を知って以来、魔法という存在も相まって見ていて飽きないということから、
何でも屋に出入りするようになる。

ファーストは片腕的存在。他国の様子を探らせるため、
疑似的な契約によってマナを提供させる形で外に出していたのだが、
いつの間にかマナを黒くさせ、国内に混乱を持ち込んできた。
第一話の一件でこってり絞りあげた後、アルーグ達の監視を言い渡した。
なお、もう一人の片腕のような天魔は、天使のような姿に見えて、豪快な女性なんだとか。

フラワー・オレンズ(精霊王)

女、見た目は27〜28歳、実年齢は500歳以上/妾、汝、お主
(由来:フラワリー・オレンジペコ。オレンジペコ等級並の大きさの茶葉で芯芽や若葉が多く含まれるものを指す)

精霊達を統括する精霊の王。天魔王同様、18年前に王となった。
くっけけけ、という特徴的な笑いで相手を翻弄する。
元はラプサンにも負けず劣らずの気まぐれな性格で、時に優しいかと思えば、精霊ならではの悪戯好き、
ひいては残虐な性格も持ち合わせる。が、最近はなりを潜めて「おとなしくしておるぞ?」とは当人の言。
助言を与える程度には丸くなったらしい。
呪い師としては回復や状態以上の呪(しゅ)を得意とするが、攻撃も一通りできる。

前精霊王の片腕的存在だったが、契約書の代償でいなくなったことにより、成り行き的に精霊王の立場となる。

リゼルティア国王とは、戦争締結における協定などを結ぶなど、人間の中でも一目おいている。

ペコはフラワーのお気に入りの精霊。片腕となる精霊は今のところいないが、
ペコのことは興味深いという理由から、人間の町に住まわせている。
なお、第一話にて何でも屋にペコを送り込めたのは偶然だったが、元々、リゼルティア国王の信頼する者達ということで、
頼るように言うつもりだったらしい(言う前にペコが飛び出していったのが原因だとか)

ファースト・フラウズ(天魔王の片腕)

男、見た目は20歳ぐらい、実年齢は100歳前後/僕、君、貴方
(由来:ファーストフラッシュ。分類される旬の名称)

天魔王の片腕的存在である天魔。
強さ、実力ともに非常に申し分ないのだが、往々にして詰めが甘い。
性格は真面目で、言われたことはこなさないと気が済まない。細かいことを凝るのが趣味。

前天魔王が亡くなった後、ラプサンの命令で他国を見て回っていたのだが、
同じように他国を見て回っていたジリンに目を付けられ、ひっそり「契約書を盗み、
城内をひっかき回すように」という呪(しゅ)をそそぎ込まれ、操られてしまう。

契約書を盗んでから数時間後、城内に契約書を隠していたところで、暗殺に会っている最中のリゼルティア国王と鉢合わせ。
彼の懐に収まるために、呪(しゅ)自身が悪意の感情のなりを潜ませて、一時的にファーストの人格が浮上。
国王をその場で助けることにより、まんまと護衛として潜り込むことに成功した。
なお、第一話でラプサンと会っても面識がないようなフリをしていたのは、
記憶の混濁(呪によって天魔としての表面部分が押さえられていた)で全く知らない人だと思っていたため。
記憶を取り戻した事件後にラプサンにがっつり叱られ、謝罪と監視の両方の意味で何でも屋に居候するよう命令された。

なお、マナを抑制する町中でもそれなりに動けるのは、第一話以降、レディの加護(魔法の加護)があるため。
第二話で呪(しゅ)を使いたがらなかったのは、マナをあまり消費できない環境だからである。

ペコ・ファニングス(猫の精霊)

女、雰囲気は16歳くらいの少女?/ペコ、アンタ
(由来:オレンジペコ。茶葉の形状としては一番大きい茶葉を指す)

猫の精霊。実は人の姿もとれるが、面倒だからと猫の姿をしている。

性格は天真爛漫で好奇心旺盛。気になることには何でも首を突っ込みたがる。
精霊王から初命令を受け、(後の話も聞かずに)町に降り立つが、マナを抑制する結界によって体が縛られる。
しかし、レディに助けてもらうことで、町の中程度ならば自由に動けるようになる(これも魔法の加護によるもの)。

第一話以降は、レディを好み、何でも屋に居候することに。
なお、戦闘はできなくはないが、呪(しゅ)で小さな炎を出す程度である。

フラン・アンヌ(人間王のメイド)

女、20歳/私、貴方様
(由来:フランボワーズ、木苺の紅茶、飲めば気分がリフレッシュする爽やかさ)

リゼルティア国王の専属メイド兼護衛。性格は一応淡々としている。
基本的に人間にできる範囲で万能な人間だが、口が丁寧語で悪いことと、リゼルティアを崇拝しすぎているのが欠点。
そのため、時折、国王に対しての崇拝が度を越した変態行為として現れる。とりあえず、カメラは常備らしいです。

呪(しゅ)は全く使えないが、一般的な暗殺者ぐらいなら暗殺し返すぐらいには強い。
ナイフとフォークをいくつか所持しており、基本的にはそれで戦う。戦闘スタイルは暗殺者風。

なお、リゼルティアに女装のイロハを仕込んだ張本人でもある。

ミルモン・フォン・ロイヤル(隣国の王子)

男、19歳/俺、貴様、お前
(由来:ミルク+レモン。ロイヤルミルクティー)

隣国の王子。態度がでかく、ややわがまま、物事は常に上から目線。
一応王子としての自覚は少しあるのか、期待には応えようとする部分や、部下や民を心配するなどの言動はみられる。

上に三人の姉がいる王子。下はおらず、待望の男と言うことで甘やかされつつ、
姉三人(高慢長女、のんびりやりて次女、食えない我が儘三女)にいびられて育った結果、
女性(特に貴族系統の女性)には非常に厳しい王子となってしまった。

今回の旅は、表向き、ミルモンが我が儘を言って従者シュガについて来た、となっているが、
実際は、あまり外の世界を知らないミルモンに、外を知って欲しいと思ったシュガが、
国王や大臣たちに土下座してまで何とか連れ出しての旅。
それをみたからこそ、自身を連れ出す理由となった妃候補探しを真剣にしようと心に誓う。

自分の性格の悪さは、まぁそこそこ理解しているが、直そうと思って直せるもんじゃない、とふんぞり返っている最中。
第二話終了では、少しばかり改善されたようである。

シュガに対しては、従者でしかみれていなかったが、事件を通し、僅かに、自分の彼女への気持ちを理解する。
その後、彼女を戻すための代償として一度なくなってしまったが、
自分の口からその思いを言ったことで、記憶として忘れていても、心はどことなく余裕をもてるようになった。

シュガ・コンフィテューレ(隣国王子の従者)

女、22歳/私、貴方
(由来:シュガー。砂糖。コンフィテューレはジャムの独語訳)

ミルモンの従者。冷静な性格で、主相手にも物怖じせずに意見を言う。ミルモンのよき相談相手であり教育者でもある。

元々は、ミルモンの姉(長女)に仕えている女性騎士だったが、
「ミルモンの護衛にもっとも適している」という国王の判断で配置換え。
男装をしているのは、前にミルモン姉に仕えているときに男装でいることを強要され、
それがそのまま板に付いたためである(一応、他人に女性だと甘くみられないようにする、という意図もある)。

配置換えの当初は、我が儘ばかりのミルモンに非常に手を焼いていたが、
彼なりに努力する姿や人を気遣う様子に自然と惹かれ、従者以上の気持ちを抱くことに。
それを何とか押し隠しつつも、彼のためにと従者としての任を全うする。
隣国訪問の命を受けた際は、妃探しで手詰まりだったミルモンに、もっと世界を知ってもらいたいと思い、
性格的に迷惑をかけそうということで渋る国王や大臣たちを説得して、ミルモンと共にハイルベーテン国へとやってくる。

事件を通して、ミルモンへの恋心を忘れてしまうが、心のどこかで口にしたことにより、
荷の重さが少し軽くなったこと、少しは意識してもいいのではないかという自分の心に向き直るようになる。

ジリン・マスカテル(輪廻転生の呪い師)

男、見た目は12〜13歳。実際は数百歳か?/僕、君、貴方、お前
(由来:ダージリン。世界最高と称される特徴的な香気=マスカテルとかを持つ)

ハイルベーテン国の城仕えの呪い師。非常に高度で多種多様な呪(しゅ)を使う。
見た目は幼いが、実年齢はそこそこあるのではないか、と言われている。
その姿から騙される者も多いが、意外と切れ者で計算高い。特に自分の興味があるものに対しての執着心は凄まじい。

その正体は、魂を呪(しゅ)による「呪い」で記憶と共に保ち続け、他人の体を乗っ取り、輪廻転生をして生き続けてきた呪い師。
様々な者の体を乗っ取り続けるうちに、様々な種類の天魔や精霊の呪(しゅ)を扱えるようになる。特に風の呪(しゅ)を使う。
元々は、困った人を助けるために様々な場所を渡り歩きながら、姿を変えて生きていた存在。
彼の「恒久なる世界平和」というのは、そう言った当初の理由から、あながち間違いではない。

20年ほど前にハイルベーテン国で城仕えの呪い師となるきっかけがあり、
その際に、魔法について深く研究する機会を得、そのまま魔法という存在に魅入られてしまう。
その後、戦争の最中に妃を暗殺させられた国王に対して甘言を囁き、彼が魔法を召喚するように仕向ける。
少し前に生まれた赤子に、自分と同じように天魔や精霊の血を与えて、魔法の召喚できる環境を整える。

当初はそう簡単に出来るとは思ってなかったのだが、様々な偶然とある種の奇跡によって魔法が赤子の中に召喚。
しかし、召喚者の願い通り、召喚者が叩き殺されてしまったことにより、魔法が暴走。
その暴走に気が付いた、前天魔王・精霊王と共に、前国王の「名前」を借り、魔法を抑えるための契約書を生み出す。
本来はその契約書を誤魔化して、魔法を我が者にしようと思ったのだが、契約を魔法に履行してもらう際、
その代償として魔法に関する記憶(魔法を欲する気持ちも含めて)を喰われてしまう。

その後数年は「自分はただの呪い師」と思って、レディが動けるようにするなどの働きを行っていたのだが、
彼女の動ける範囲を広げるなどの結界強化の呪(しゅ)をかけた際に、魔法に触れ、喰われていた記憶を思い出す。
しかし、既に彼女の結界は自分で強化してしまい、それを何とかする目的で「外の見聞を広める」ということで旅に出る。
旅に出る一年ほど前から、レディに対して、「自らの護衛にふさわしいと判断に値する人間が死したとき、
自動的に不死の魔法を発動する」という呪(しゅ)をかけ、
「君は世界を救う力がある。いつの日か、君は世界を救う礎となるんだ」と何度も言い聞かせる。

そうして他国を見物している間、国の外に出ている精霊や天魔を見つけては自分の手ごまにすることをし、
ファーストには契約書を、他の精霊にはアヤカシの杖を盗ませることに成功する。

魔法を立て続けに使うことで、結界の維持が不安定になったレディを狙い、第三話にて街に戻ってきた。
ちなみに第三話でレディがジリンを封印するだけに留めたのは、契約書の契約者がジリンであるため、
彼を殺してしまうと、最悪、契約書がなくなってしまう問題があったためである。
契約書がなくなるとレディ自身が暴走してしまう可能性があり、それを考慮したうえで、封印という手段になった。