<本日の(電波的)BGM一覧:
・DANZEN!ふたりはプリキュア Max Heart Ver/五條真由美
・DANZEN!ふたりはプリキュア/五條真由美
・おジャ魔女カーニバル!!/MAHO堂
・私、負けない!〜ハルカのテーマ〜/ハルカ(KAORI)
・乙女の祈り/林原めぐみ&鈴木真仁
・ハッピーサマーウェディング/モーニング娘
・恋のダンスサイト/モーニング娘
・LOVEマシーン/モーニング娘 >

 以上8点をパソコンから聞き流しての妄想です。
 どんな内容でも耐えられる方はどうぞこのままお進み下さい。


























「んで。なんで俺達は揃って昼食なんぞとらないといけないんだ?」
「文句は私よりも"仲の良い"国王様に言ってはどうですか?」

オーディンの不服そのものの声に、ロキは優雅な仕草で目の前に盛られているサラダへとフォークを伸ばしながら平然と答える。
それは、キングダム地方にの、とあるオープンカフェ。時間帯的にお昼だからなのか、席に空席は見当たらない。オープンテラス故の日差しが彼らの上に柔らかく降り注ぎ、雲ひとつ無い青空を強調しつつある。
席に座っている客の大半は、彼らが一体誰であるかを知っているからか、或いはあまりにも異色な人間が二人もいるからか――或いは両方か、とにもかくにも視線を向けずにはいられなかった。
金色の髪は無理矢理梳かした感じがしながらも、しかしその体格の大きさと調った顔立ちが印象的な男性と、方や正反対なほど小柄な、黒い髪で左半分を覆うその様はまるで某題名に同じカタカナが三文字も続く幽霊漫画の主人公のような、しかしそれでいて行動の一つ一つが優雅に見える青年。
そして、その両方の纏う雰囲気は、どこか一般人のそれと僅かながら違う世界にいることを意味するような感じであった。
しかし互いに周辺の視線など全く気にする様子もなく、それぞれが全く慌てることの無いペースで皿の上に乗っているものを空にしていく。

「当たり前に言いつけた。そしたら『気分転換にいいだろう?』ってほぼ強制的決定ときたもんだ。大体、食事のタダ券なんて一体ドコから持ってきたんだよ、ゼロは」
「そういえば、この間、この周囲の商店街で福引があったそうですよ。王妃様がメイド長と一緒に行っていらしたようですけどね」
「そうだよ、それの所為で折角取れた休みの日がまたずれて……ってもしかして……」
「多分、王妃様が当てたのをあのお方が持っていらしたんじゃないですか? そういうこと、結構ありそうですしね」
「だからって別にロキと一緒に行くようにしなくてもいいじゃねぇか……」

皿から掬ったスープを口の中に運び込んで、オーディンが深い溜息。対して、ロキは酷く平然と答える。

「まぁまぁいいじゃないですか、私と隊長の仲を取り持っておきたかったんでしょう、あのお方は」
「俺は多少程度でいいんだがな、仲なんて」
「私もそう思っていましたよ。――最近までは」

あっさりとそう言うロキに、オーディンはその言葉が意外だった、目を見開いて酷く驚いた表情を見せる。
コレに対して、ロキは持っていたパンを軽く千切り、近くにおいてあった鉄板の熱で蕩けたバターを、ナイフで丁寧に塗りながら、心外だと言わんばかりの表情をする。

「これでも私だって人間ですからね。周囲の影響を受ければ、否応無しに考えを変更せざるを得ませんよ」
「へぇ、変化ねぇ……例えばどんなことだ?」

大きなボールから自分の分量だけのサラダを皿に盛りつつ、オーディンが首を傾げる。口の中に放り込んだらしいバターを塗りつけたパンを租借し終えたらしいロキが、ピッと指を立てる。

「主に冗談は必要だという事」
「それって何時ものことだろうが」

半眼で呟くオーディンに、ロキは、とんでもない、と言葉を付け加えて首を左右に振ると、鉄板の上でやっと冷めたらしいステーキの上にナイフの刃を落とす。

「これでも結構様々な冗談を言うようになりましたよ。それとも、ジョークの方が分かりやすいですか?」
「一緒だろうがどの道。大体、だから冗談ってどんなものだよ」
「主にヴィエル様の言う"話"の提供とか」
「……話?」

どこか何か非常な寒気と怖気を感じたらしい騎士団長はビクリと躯を震わせる。そして、恐る恐るといった様子で、目の前である程度温くなったステーキを口に運ぶ参謀長官を見つめる。
こくりという嚥下する音が、オーディンには酷く大きく聞こえたが、しかし目の前の人物はなんという事もなく言い放つ。

「ええ。ヴィエル様からよく"ありそうでありえない現実味のある話"を要求されるので、ちょっと城のメイド達と協力してですねー」
「え? ってか何でどういう経緯でお前協力要請を……」
「まぁそこは気にしないで下さい、裏事情ですから。
 それで、適当に話をして、その中で面白そうなものを引っ張り出して、話をしているのですが」
「いやまて、それって冗談とかそーいう一般常識的領域を超えているような……」
「そこも突っ込んではいけません、隊長。突っ込み過ぎは老化現象の一つですよ?」
「んな馬鹿な話があるかよ、オイ。
 ……ちなみに、例えばその"話"っていうのには何がある?」

持っていたスプーンを脇に置き――片手がやや寒気から震えているので、それを隠すためだ――オーディンは軽くぎこちない様子で首を傾げる。ロキは軽く水を喉に通すと、空になったグラスを近くのウェイトレスに代わりを持ってくるように頼んでから、僅かに考え込む仕草をしてみせる。

「昨日くらいに出したのは、フォルの話でしょうか」
「は、フォルがどうしたんだよ?」
「いえ、何でもヴィエル様曰く"フォルの惚気ってティアちゃんはどう受け止めてるのかしら?"ということなので……」
「……なので……?」
「はい、実際にフォルが昨日隊長に無自覚で惚気ているところをティアに見せまして――」
「って待ておい、その時って確か、俺がティアを探していた時じゃないのか……?」
「ええ。隊長が探していたのを先回りして見つけてから、あわせないようにするのに苦労しましたよ。ティアとフォルが面とむかっているのは少々つまらないですから。ま、結局ティアはあっさりと切り抜けてしまいましたけどね。意外とティアもそこら辺の反応はつまらないですねー」
「待て。ってことはゼロが俺にティアを探すように言ったのは、俺がフォルと会ってティアの惚気を言わせるためとか――」
「当然じゃないですか。何の為に隊長がいると思っているんですか? メイド達曰く"絶対的に苦労人の性が消えるはずの駄目人間"なんですから」
「マテマテマテ、何なんだその名前の妙な由来は」

ロキに水を持ってきたウェイトレスに空になったグラスを押し付けて、代わりを持ってこさせつつ、オーディンが思わず突っ込む。しかしロキは涼しい顔で流すと、何かを思い出したような表情をする。

「そういえば、一番驚いたのは、メイド達の"思考"具合ですかねぇ。本当、聞いた当初は驚きましたよ。そこら辺、ヴィエル様と同格なんじゃないかと思うんですよねー」
「……期待とかそーいうの以前にもう凄まじく寒気がするわけだが……一応聞いていいか?」
「おや、一応聞きますか、メイド達の"妄想"具合を」

楽しそうな表情をしながら仮面に覆われていないほうの顔に小さな笑みを浮かべ、ロキは水を口に含む。オーディンもまた、不服そうな表情ながらも一度だけ頭を縦に振る。ついでに、丁度やってきたウェイトレスから水を貰い、喉に通す。

ごくりと。

何時の間にか店――とりあえず屋外であるにも関わらず――は静まり返っていた。
しかしその様子に、喋っている二人はあまり気にも止めていない。
ただロキはやれやれといった様子で肩を竦めると――少しだけ揶揄を含んだような笑みを浮かべ、そして。

「例えば、この前隊長がメイド長をこーっそりと誘って部屋に招きいれた後の話――」
「ってそれこそ待て! な、なんで、それが、えーと、なんだメイド達に」
「そりゃあ情報大好きですからねぇ、私達の住まう城の人間は。いくら隊長がこっそりとメイド長を誘ったのが夜だろうがなんだろうが、甘いですよー。どうやらメイド達は、メイド長にあれやこれやと聞いては意見言ってたみたいですしねー。フォルのほうが実は結構最近回数が多いと――」
「言うな。言われるのを聞くと何か色々頭が痛い。ただでさえ風紀の乱れが心配何だからな……」
「そういう割りに本人がその様子じゃどーしようもないんじゃないんですかー」
「それはヴィエルにも似たようなことを言われた。ってか、ゼロはゼロで相手していないのか?」
「王様は忙しいらしくて、最近会話は普通にになりたってるけど、それに構っている暇が無いそうですよ。おかげで"欲求不満"で散々だとか」
「いや散々なのは俺のほうなんだが……」
「なんだか最近はストレス発散とかで所謂"同人物"に相当凝っていますからね。まぁ、対象は私じゃないので関係ないですが」
「……対象?」
「ええ。主に"妄想だけの同性愛"についての話の」
「ええっとなんていうかロキ、それの対象っていうのは……」
「おや隊長、お心当たりが無いようであれば、今度、それを"嫌な思い出"として刻んで差し上げましょうか? ティアには内密にして薬でも盛ったフォルを用意して」
「そこはかとなくそれは冗談にしてくれそれは本当に」

深い溜息がどこか尋ねた事による後悔の溜息になり、オーディンは肩を竦める。それを見上げるロキの瞳が、すっと細くなる。口元には、合いも変わらず得体の知れない笑み。

「"オーディン隊長"」
「あ、何だ?」

どこか疲れきったオーディンは、なんとは無しにロキを見下ろし――彼のほっそりとした白い手が、ふと、自分の頬に触れていることに気が付く。
酷く冷えた、しかし何か誘うような色を見せる、妖しい笑みが、そこには存在していた。

ちなみにたった今、彼らの机の上に乗っている殻になった皿を片付けていたウェイトレスは、目の前の行動に呆然としたまま、引っ込めるための皿に手をつけて動けないでいる。

「実は、前々から言いたかったことがあるんですよ、私」
「奇遇だな。俺も、お前には前々から言いたかったことがある」

にこりと。ロキが笑顔を見せる。その笑みからは、依然としてどことなく、青年ながらに艶かしい何かがある。
オーディンは無表情だ。しかし、戦闘で培われたやや荒く大きな手が、目の前のロキの顎を軽く掴む。そして、口元に余力を見せる笑みを淵に湛える。
とりあえず周囲ががやがやと騒ぎ出し、一部の人間がかなり緊急的な状態に陥り―― 一番の被害は、実はその間に僅かに挟まれるようにして皿を掴んだまま動けないでいるウェイトレスなのだが誰もあえて突っ込みはしない――周囲の視線が、好機と、驚愕と、何か最早とにもかくその他もろもろを帯び始める。
そして、

「私は貴方が大嫌いですよ」
「俺はお前が大嫌いだな」

互いが平然と言葉を紡ぎ、そうして手が離される。
そこには、微塵の戸惑いも無かった。


間に挟まれていたウェイトレスが、周辺の騒ぎなど気にせずに深い溜息を吐き出した。
これってなにか寸劇とかそういうものの間違いなんだろうか、と思いつつ。






 コンビネーション



(ちなみに、この映像を実はこっそり後をつけたらしいメイド達数人に取られている事を、オーディン騎士団長は知らない。
 更に言えば、二人が出かける情報を流したのはほかならぬロキ参謀長官の謀だということも知るわけがない。)



070121/気分が低迷していたので書き記した物。本来サイトに上げるつもりは毛頭無かったんだけど、まぁ折角だからと気分で上げてみる。
そもそも我が家にナイス☆コンビというのはこいつらで、何だかんだと同族嫌悪的なものを抱きつつも意外と仲がいい感じ。
ただし背を預けるとどっちが切りつけてくるか分からないから常に警戒しながら背中合わせで戦うようなコンビでもある。少々馬鹿かもしんない。
オーディンが突っ込みでロキも突っ込みだけど、どっちかというとロキは面白半分でボケる。オーディンは苦労人の性が抜けずに突っ込みばっかし。
何故かそこでボケに転がらないのは、まぁ要するに周囲がボケばっかりだからと一生懸命に気を張っていたら気づけば突っ込みしかできなくなった……のかもしんない。
とりあえずキングダム地方の貴族以外の上は一部の人間がこんな感じで構成されているけど、ちゃんと成り立つ綺麗な地方です。
とりあえず支離滅裂な話。ついでにお妃様の正体がついにバレた、と思う話。