お借りしました!:ひづきさん宅より 晃輝君と明姫さん



「――え、近衛騎士(ガーディアン)って何?」
「あ、うーんとな、常に国王のことを護衛する騎士っていう意味らしいぜ。でもロキ曰く『単に複雑な呼び名のほうがカッコいいからかもしれませんね』って言ってた!」
「確かに、響きはカッコいいよな〜」

喫茶店の中で仲良くなった少年――晃輝(コウキ)にフォルは胸を張った。少し離れた位置で、自分が護衛するはずの対象が困ったように笑っていることにも気づくことなく、彼は思い出したように手を叩く。

「そういや、この地方にも"王"がいるって聞いたんだけど」
「あぁ、それはほら、そっちで話をしてるだろ?」

晃輝の指す方向に目を向けると、一人の青年が、フォルの護衛対象である男性と何やら話し合いをしていた。と、その青年が胡散臭そうな目で二人を見つめる。
二人揃って首をかしげると、向かいに座る暗みがかった赤い髪の男性は、やはり困った表情で苦笑している。男性がとりなすようなことを言うと、青年は小さなため息をつくと、諦めたように男性に向き直って話を再開する。

「何を話してたんだろうな?」
「うーん……次の注文内容とか?」
「それはない気がするなぁ」

苦笑する晃輝に、そうかなぁ、などというフォル。金色の瞳が真剣そうな色を帯びて一生懸命考える様子に、少年はくすくすと笑う。

「ところで、フォルは近衛騎士っていうのだとして、なんか強くなる修行とかやってるのか?」
「修行? そうだなー。修行っていうか、普段から鍛錬したり、ティアやクイン……あ、騎士団っていう組織の仲間なんだけど、そいつらと組手やったりバトルやったり」
「あ、やっぱりバトルやるのか?」

バトル、という単語に生き生きとした表情を見せる晃輝に、フォルは力強い視線を返して頷く。

「おう! っていうか、やっぱりバトルが出来るのが基本だしな。――へへっ、言っとくけど、俺は結構強いぜ?」
「そう言われたら、黙っていられないぜ。本当に強いんだよな?」

フォルがにやっと笑ってボールを片手に立ち上がると、晃輝もまた、手にしていたお盆を近くのカウンターに置いて、腰のボールに手を伸ばす。
手にしているボールを突き出すような形で、フォルが力強い視線と笑みを向ける。

「伊達に四天王を名乗っているんじゃないぜ! 氷タイプの強さを見せてやるよ!」
「俺だって、草タイプ専門のジムリーダーになりたくて頑張ってきてるんだ。相性なんかで負けていられない!」

フォルと同じようにボールを構える手を突き出すようにして、晃輝が明るく力強い目で見返す。

「それじゃ」
「バトルと」
「「いっくぜー!」」
「お前らー、盛り上がるのはいいが、バトルするなら外でやれよー。こっちは今、大事な話をしてるんだからな」

背後から飛んできたユズリハの王の的確な声に、二人は顔を見合わせてから、

「「えー」」
「えー、じゃねぇよ。ドタバタ騒ぐな。やかましい。外でやれ」
「それ以前に、物を壊しかねない気はするが……」
「大丈夫だぜ、ゼロ! 外に向かって移動しながらやる!」
「あ、いや、それはまずいかも。フォル、外に出てバトルしようぜ。中で物を壊したら、あとで怒られるし……」

流石に店の中のものが壊れることに思い当たった晃輝が首を振って外に出る準備をする。フォルはあまり実感がわかないのか、不思議そうに首をかしげる。

「そうなのか? 俺のところだと、城の中でバトルしても怒られないけどなぁ」
「廊下でやったらディンは怒るだろう。それと一緒だと思えばいい」
「はっ、それは嫌だ! 晃輝、外でバトルできる場所ってどこだ?」



理由不要の要因



(「元気だな、アイツら」
 「お望みでしたら、後でバトルをしますか?」
 くすりとほほ笑むキングダム地方国王の言葉に、ユズリハ地方の王は面倒そうな表情で首を振った。)

110905/ひづきさんよりリクエストをいただきました「晃輝さんとどなたかで、ちょっとしたキッカケでおしゃべり→バトル!」でございます。バトル描写なくてもいいってこ とで端折りましたすみません((
前置をすると、ユズリハ地方の王に用事があった我が家の国王が護衛一人連れてカフェで密談、というシチュエーショ ンです。密談内容は多分、1割どうでもいいことが入ってそうな気がする妄想の方向で(蹴)
とにもかくにも、楽しく書かせていただきました!個人的に明姫さん好きなので今度はもっと詳しくお話を聞けたらいいな、と思っております。